トモアキが答える。
「いません。
実は、この店のマスターは、僕の叔父なんですが、7時半ごろから、連絡が取れないんです」
おっさんは店内の時計を見た。
今は、8時過ぎだ。
「ほう。君はマスターの甥っこさんなのか」
「はい。叔父の名前は、星野満英といいます」
「ふん、それで?」
おっさんは、マスターの名前には興味がないらしい。
若手刑事も、マスターの名前はメモらない。
すると、今度は、桃香が口を開いた。
「刑事さんたちが篤也君の家に行った理由を、さっき篤也君からメールで聞いたんですけど、
お金を盗んだのは、たぶん、マスターだと思います」

