「いったいなんなの?
友達って、だれ?
トモアキ君?」
おふくろが、小声で聞いてくる。
おふくろは、トモアキのことは子どもの頃から知ってるし、『ミラージュ』がトモアキの叔父の経営する店だということも知っている。
ただ、俺らが、そこの2階を遊び場にしてたことまでは知らないけど。
「そう、トモアキ。
でも、なんで『ミラージュ』に来いって言ってるのかは、行ってみないと俺にもわからない」
小声でそう答えると、おふくろは、眉をしかめたまま、前に向き直った。
脇道はすいていて、すぐに南小が見えてきた。
『ミラージュ』の横に車が止まる。
店の中からは、明かりがもれていた。

