8月の宝探し


「すいません」


「なんだ?」


おっさんが答える。


「南小の近くに、『ミラージュ』っていうカフェがあるんですけど、そこに行ってもらえませんか?」


「……どうしてだ?」


「そこに俺の友達がいて、刑事さんたちに話したいことがあるそうなんです」


「……その子に警察に来てもらうよう言ってくれないか?」


「いや、ミラージュに来てほしいって言ってるんで……。
そこじゃないと、なにかダメな理由があるのかもしれません。
よくわかんないですけど……」


「ふぅむ、しかたないな。
おい、『ミラージュ』に行き先変更だ」



おっさんがそう言うと、若手刑事はうなずき、幹線道路から脇道に入った。