「すいません」
「なんだ?」
おっさんが答える。
「南小の近くに、『ミラージュ』っていうカフェがあるんですけど、そこに行ってもらえませんか?」
「……どうしてだ?」
「そこに俺の友達がいて、刑事さんたちに話したいことがあるそうなんです」
「……その子に警察に来てもらうよう言ってくれないか?」
「いや、ミラージュに来てほしいって言ってるんで……。
そこじゃないと、なにかダメな理由があるのかもしれません。
よくわかんないですけど……」
「ふぅむ、しかたないな。
おい、『ミラージュ』に行き先変更だ」
おっさんがそう言うと、若手刑事はうなずき、幹線道路から脇道に入った。

