黙ってしまった桃香に、優しく話しかけた。
「マスターが言うにはさ、
この金は、たぶん、わいろなんだって。
本当は、政党がもらっちゃいけない、悪い金らしいんだよ。
だから選挙事務所は、盗まれたって、警察に言えないらしいんだ。
そういう汚い金ならさ、俺らが有効に使ってもいいんじゃねーか?」
「え、でも……」
桃香は、なかなか納得してくれない。
「ほら、桃香だって、外国に留学したいって、言ってたじゃん?」
すると、桃香はスッと顔を上げた。
「あのときは、先輩のことを早く忘れたくて、そう言ったの。
でも、トモアキ君とアツヤ君のおかげで、先輩のことはもう吹っ切れたから」
あー、そうだった……。
説得、失敗……。
それどころか、俺の言葉で、桃香は心を決めたらしい。

