「おいおい、それって、いいのか?」
「いや、ダメだろう。
でも、校庭の金網が一部、破れてるみたいでさ。
そんな穴があったら、子どもは入っちゃうだろ」
それを聞いて、トモアキが軽く眉を寄せる。
「だけど、工事の途中なんだよね?
ケガしなきゃいいけど」
すると、マスターはパチンと指を鳴らして、トモアキを指した。
「そうなんだよ!
俺もそれが心配でさ、役所に電話して、金網を直した方がいいって言ったんだけどさ」
「だけど?」
「なしのつぶて」
「は? なしの……?」
「あー、だから、なんの音沙汰もない、なにもしてくれないんだよ!」
「ふぅん……」

