8月の宝探し


「おいおい、それって、いいのか?」


「いや、ダメだろう。
でも、校庭の金網が一部、破れてるみたいでさ。
そんな穴があったら、子どもは入っちゃうだろ」


それを聞いて、トモアキが軽く眉を寄せる。


「だけど、工事の途中なんだよね?
ケガしなきゃいいけど」


すると、マスターはパチンと指を鳴らして、トモアキを指した。


「そうなんだよ!
俺もそれが心配でさ、役所に電話して、金網を直した方がいいって言ったんだけどさ」


「だけど?」


「なしのつぶて」


「は? なしの……?」


「あー、だから、なんの音沙汰もない、なにもしてくれないんだよ!」


「ふぅん……」