8月の宝探し


マスターは、手ぶらの俺とトモアキを交互に見ている。


いつもの席に着きながら答えた。


「今日のところは、会長に持って帰ってもらった」

「会長って、えっと、沢木君?」

「あぁ」

「え……、彼ひとりに預けて大丈夫なのか?
4900万だぞ?」

「大丈夫。
会長の部屋、鍵かかるらしいから」

「いや、そうじゃなくて……。
彼は信用できる男なのか?」


マスターらしくない言い方に、眉をひそめる。


「信用?
会長がひとり占めしないかって意味か?
アイツはそんなヤツじゃねーよ」


少しムッとしながら答えたけど、マスターは、俺の不機嫌には気づかない。