「なぁ、それもうまく描けてるとは思うけど、ホントに、きれいな紙に描き直してもらわなくていいのか?」
トモアキだって、描き直すって言ってるんだし。
そう思って、桃香を見ると、
桃香は、いつになく真剣な表情になった。
「きれいな紙に、きれいに描いてもらっても、それは、私には意味がないの」
「……意味がない?」
「これを欲しいって言ったのは、これを見た瞬間の、自分の気持ちの変化を、形あるものとして残しておきたかったから、なの」
「気持ちの変化を」
「形あるものとして……」
トモアキとふたりして、顔を見合わせる。
「うん。
それを見た瞬間、わかっちゃったんだ。
私、すごく幼い恋をしてたなって」

