トモアキは目をぱちくりさせてる。
「え、これ?」
「うん!
今日の記念に、宝物にしたいの」
「それは、かまわないけど……。
でもこれ、落ちてたスケッチブックで、汚れてるよ?
なんなら、ちゃんとしたキャンバスに描き直すけど?」
「ううん、それがいいの!
それじゃなきゃ、意味がないの」
桃香の熱意に押され、トモアキはスケッチブックを差し出した。
「そう。じゃ、はい、どうぞ」
「ありがと!」
桃香は、スケッチブックを微笑んで受け取った。
そして、それを胸に抱きしめ、もう一度、俺の方を向く。
「アツヤ君も、ホントにホントに、ありがとう」
「いや、俺はなにも……」
ポリポリ頭をかきながらも、不思議に思って、聞いてみた。

