8月の宝探し


ぺこりと下げた頭を上げた桃香は、満面の笑みだ。


桃香の笑顔、久しぶりに見た。


しかも、こんなうれしそうな笑顔……。



見とれていると、トモアキが俺の両肩をつかんだ。


「あのね、桃香ちゃん」


トモアキは、俺の体を桃香の前に押し出しながら言う。


「桃香ちゃんの似顔絵を描けって言ったの、あっちゃんなんだ!」

「えっ、おいっ、おまえ、そういうことは!」


あわててトモアキをさえぎろうとしたんだけど、間に合わず。


「だから桃香ちゃん、お礼なら、あっちゃんに言って!」



あわわわわわわ……!