ぺこりと下げた頭を上げた桃香は、満面の笑みだ。 桃香の笑顔、久しぶりに見た。 しかも、こんなうれしそうな笑顔……。 見とれていると、トモアキが俺の両肩をつかんだ。 「あのね、桃香ちゃん」 トモアキは、俺の体を桃香の前に押し出しながら言う。 「桃香ちゃんの似顔絵を描けって言ったの、あっちゃんなんだ!」 「えっ、おいっ、おまえ、そういうことは!」 あわててトモアキをさえぎろうとしたんだけど、間に合わず。 「だから桃香ちゃん、お礼なら、あっちゃんに言って!」 あわわわわわわ……!