俺にも、それはわかる。
恋は盲目、ってヤツだよな。
なんとも思ってないヤツがやると、ドン引きするようなことでも、好きな人がやると、良く見えるっていう……。
「だけど、客観的に見たら、トモアキ君の方が、数倍上手。
今となったら、なんであんなに先輩の絵がうまいって思えたのか、不思議なくらい」
「そう……」
「うん。で、そう思えたら、先輩のことも、どうでもよくなっちゃた」
そう言って、桃香は、いたずらが見つかった子どもみたいに笑う。
トモアキは、ポカンとして、言葉も出ない様子。
それにかまわず、桃香は笑顔で続けた。
「だから、トモアキ君、
私の目を覚ましてくれて、本当にありがとう!」
「え、いや、どういたしまして……」

