8月の宝探し


俺にも、それはわかる。

恋は盲目、ってヤツだよな。

なんとも思ってないヤツがやると、ドン引きするようなことでも、好きな人がやると、良く見えるっていう……。



「だけど、客観的に見たら、トモアキ君の方が、数倍上手。
今となったら、なんであんなに先輩の絵がうまいって思えたのか、不思議なくらい」

「そう……」

「うん。で、そう思えたら、先輩のことも、どうでもよくなっちゃた」



そう言って、桃香は、いたずらが見つかった子どもみたいに笑う。

トモアキは、ポカンとして、言葉も出ない様子。

それにかまわず、桃香は笑顔で続けた。



「だから、トモアキ君、
私の目を覚ましてくれて、本当にありがとう!」

「え、いや、どういたしまして……」