「先輩……、私がまえに付き合ってた美術部の先輩もね、絵がうまかったんだけど」
そこで桃香は、おかしそうに吹きだした。
「トモアキ君と比べたら、全然上手じゃないって、今わかった」
「えっ?」
おいおい、マジか?
そういう展開?
なんだよ、アイツ、たいしたことなかったのかよ……。
だっせーな!
「先輩の絵、トモアキ君より、ずーっと下手だった」
「あ、そ、そうなの?」
「うん。
でもね、当時の私には、すごく上手に見えてたの。
好きな人のことだと、なんでも良く見えちゃうんだね、きっと」
「あぁ……」
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