8月の宝探し


「先輩……、私がまえに付き合ってた美術部の先輩もね、絵がうまかったんだけど」


そこで桃香は、おかしそうに吹きだした。


「トモアキ君と比べたら、全然上手じゃないって、今わかった」

「えっ?」



おいおい、マジか?

そういう展開?

なんだよ、アイツ、たいしたことなかったのかよ……。

だっせーな!



「先輩の絵、トモアキ君より、ずーっと下手だった」

「あ、そ、そうなの?」

「うん。
でもね、当時の私には、すごく上手に見えてたの。
好きな人のことだと、なんでも良く見えちゃうんだね、きっと」

「あぁ……」