「どうしたの?」 いぶかしげにこっちを振り返った桃香に、笑顔を向ける。 「いやいや、なんでもない」 そして、トモアキの姿が、俺で隠れるように、体の向きを変えた。 「それよりさー」と、窓の外を指差す。 「こっからだと、会長が『ミラージュ』に入ってくの、全部丸見えだな」 「あぁ、うん、そうだね……」 桃香はまた、窓の外の会長に目を移す。 よしよし。 ちらっと後ろを見ると、トモアキは、おとなしく俺の指示に従い始めたようだ。 スケッチブックに鉛筆を走らせている。 こっちも、OK、と……。