桐谷さんと室井くん


朝ごはんのおにぎりを食べながら駅まで歩いていると、後ろから声がした。

『亜稀ちゃんっ!ま、待ってよ!』
と、室井くんの焦った声が聞こえてきた。

少し後ろを振り返ると、追いついてきた室井くんが

『なんで、置いていっちゃうのー!』
と、怒っていた。

だが、甘く、幼い顔をしている彼は怒ってもあまり怖くない。


と言うか、まったく怖くない。

「お母さんと話してたからいいかな、って思って。」

と返すと、にやりとした彼は、

『なーんだ、ママさんに妬いちゃったのかー』

と言った。

「……………は?」