「そっか。」

何か苦しくなって会話を終わらせる。

もう、君とは目を合わせられないかもね。

ボールを渡すと素直に受け取った。

すぐに練習を始めなければならないから

走ってバスケのゴールの方へ行く速水君。

私は他の部員に笑顔で対応する。

「胡桃ちゃん、ありがとー!」

3年生の先輩。

「ありがとうございます、先輩!」

かわいい後輩。

誰も速水君みたいに嫌なことを言わない。

「嫌い、なんて誰が言ったんだよ。」

彼、速水君がそうつぶやいたことを、私は知らない。