わたしはニコッと笑ってあげた。
「いいですよー」
もう撮られていることは知ってるし。
わたしは特に何もせず、テーブルに向かって荷物を漁った。
そしてスマホを取り出し、チラリとカメラに向かって笑う。
そしてまた画面に目を戻して、メールが来ていたことに気づいた。
「あっ…──」
「ん?どした?」
「メールです。友達から。」
海斗からなんて、言えないけど。
カメラも意識しつつ、本文を読んだ。
『撮影は順調?
実は文化祭の出し物が劇になって…
あみかちゃん、主役でいい?
気づいたら電話よろしくぅ!』
「あー…文化祭の、出し物ですね。劇やるんですってー」
わたしはカメラに笑いかけた。


