「居酒屋の時も、何や元気あっていい子やと思っとったんよ」
タンタンと、馴れ馴れしく肩を叩き笑う人。
俺んところにも、来て欲しいわぁ。とのんびり言う人。
次から次に話しかけられ、当の水上さんに、今からバイトだとなかなか言えない。
結局、楽屋の傍まで雪崩れ込むように連れて行かれてしまった。
けれど、中に入って落ち着いている場合じゃないので、楽屋入りしようとする水上さんの袖をグイッと掴む。
「なんやっ!」
行き成り掴まれたことに、不機嫌な顔と声。
ひいぃーっ! と恐怖に慄きながらも、バイトの事を伝える。
「今からか?」
「はい……」
恐る恐る返事をする。
「飯は、どないすんねん」
「えっと、そのぉ……」
そっか、水上さんの食事の準備をしなくちゃいけないんだった。
金額に目がくらみ、すっかり忘れていた。



