おかしな二人



依頼時間まで、約一時間強。
あまりに急な依頼だが、金額を考えれば仕方ない。

この場所からだと、移動に三〇分はかかる。
着いてから、当の本人ともある程度打合せをしなくちゃいけないから、今すぐにでもここを出たい。

スタジオにおずおずと戻ると、丁度撮影が終わったところだった。
メンバーと談笑しながら、出口に向かってくる水上さんに声をかける。

「あのー」
「あっ。明ちゃん?」

水上さんにかけた声を掻き消すように、大きな口をニッと開け声をかけられた。

「英嗣君に、いじめられてへん?」
「え? ぁあ、はい」

いじめ? はされていないけれど、睨みはキツいっすよ。と心で愚痴り、てへへ。なんて笑ってみる。

「ほんまに可愛い子やなぁ。英嗣には、勿体ないんとちゃうか?」

次々とやってくるメンバーが、かわるがわるあたしの話題で盛り上がる。