それとは正反対に、水上さんは家では見られないほどの笑顔で撮影を進めている。
メンバーとは、本当に仲が良さそうだ。
家に居るときも、そんな風に笑っていたらいいのに。
なんであんなにいつも、不機嫌そうな仏頂面なんだろう。
撮影で笑顔いっぱいの水上さんを見ながらそんな事を考えていたら、バッグの中で携帯が鳴った。
撮影中に着信音が出たことで、慌ててボタンを押し、その場を離れる。
刺さるような痛い視線が背中にいくつも、いくつも、いくつも……。
「うへー。ごめんなさい」
小さく声に出して謝り、外に出てスタジオの重いドアを閉めた。



