「じゃあ、あたしはこれで」
クルリと踵を返し、帰ろうとすると、その背中を呼び止められる。
「少し、観てかん?」
「え?」
振り向くあたしの手を取り、不満顔の警備員を無視して建物内に連れ込んだ。
いいのだろうか?
スタジオなんて場所には、不慣れなあたしがキョロキョロと物珍しさに首を巡らせていると、真っ直ぐ歩けや。と叱られる。
肩を竦め、水上さんの後ろを黙ってついていった。
途中、受付みたいなところで入館パスを首から下げられる。
胸元でブラブラと揺れるパスを見ながら歩いていたら、またフラフラすんなや、と叱られ首を竦めた。



