もちろん、顔を覗かせたのは水上さんだ。
まるで、どっかから監視していたみたいなタイミングで現れるから驚いてしまう。
まさか、身体のどこかにカメラか盗聴機を仕掛けられてる?
空港のボディーチェック並みに自分の体を触りながら、あたしは不審顔になる。
「あったか?」
水上さんは、綺麗にどうらんを塗られたお顔で、あたしに訊ねる。
「はい。ありましたよ」
バッグの中から携帯を差し出すと、うん。と嬉しそうな顔をする。
まるで、やっと会えた恋人にでも向けるような表情だ。
可愛らしいじゃないですか。
携帯依存症にだけは、気をつけてくださいね。などとおこがましい思考。



