あたしは家の戸締りを確認し、携帯をバッグにしまいこんで言われた場所へと向かった。 場所は、都内の某撮影スタジオ。 警備員が不満げな表情で、扉の前に立っている。 まるで、仕事内容と給与が見合わないみたいな顔つきだ。 世の中そんなものだよ、警備員さん。 世知辛いねぇ。 勝手な慰め心を持って、警備員の不満そうな顔に話しかける。 「あのー。頼まれた忘れ物を……」 不満気な顔の警備員に説明をしている途中で、扉ががっと勢いよく開きひとつの顔が覗いた。