「……やっと起きてくれた」 拘束されたまま、あたしは引き攣り笑顔。 唇までの距離、わずか数センチ。 危ない、危ない。 ふぅっと胸を撫で下ろす。 すると、水上さん。 「なにしとんじゃ」 ほんの僅か顔と顔の距離を離したかと思うと、眉間にしわを寄せる。 おいっ。 それは、こっちのセリフだよっ。 あたしのこめかみがピクリ。 しかし、寝ぼけているとはいえ、ドスの訊いた声はやっぱり怖い。 それにしても、自分で拘束しておきながら、水上さんはこの状況に怪訝な顔をしている。