「なにしとんねん」

そんなあたしの姿を見て、英嗣は訝しげな表情をしている。

「好きだよね?」
「あん?」

あたしは半分探るように、半分からかうように訊ねる。

「あたしの事、好きなんだよね?」

すると、きょとんとした顔のあと、真っ赤になって、どあほっ!! と叫んだ。

「そういうんは、ちゃんと仕事済ませてからにしろ」

照れ隠しをするように、バサッともう一度布団の中に潜り込んでしまった。
あたしは、その仕草がおかしくて、わざと叫ぶ。

「おかしな女が大切でしゃーないんやー」

英嗣の真似をして、口元に手をやりわざとらしく叫んだ。
すると、慌てたように布団から顔を出し焦りだす。

「もおっ、ええってー!」

照れて叫ぶ英嗣に、あたしはケタケタと声を上げて笑った。

「何で好きになったんやろー」

もう一度物真似をして叫ぶと、ベッドから出てきて抗議する。

「こないな泣き虫ってーのが、抜けとるやないかいっ。この、泣きむし女がぁっ」
「泣き虫じゃないもんっ」

今度は、あたしが抗議する。

「うるっさいは、泣きむしがぁっ。また、洟出てんで」
「出てないよぉっ」

グイグイッと鼻先をつままれながら、あたしたちの幸せなやりとりが朝の日差しの中続いた――――。








           おしまい