「さーて、お節でも詰めようかな」

下ごしらえをほぼ済ませたおせち料理の数々を、ダイニングテーブルへと並べて、年末に慌てて買った漆塗りのお重に彩りよく詰め込んで行く。

三の重の煮物から始まり、二の重のえびや、さわらの西京漬けもろもろ、一の重の伊達巻や紅白のかまぼこに栗きんとんなどなど。
彩りよく詰め込み、雑煮もお餅を入れれば食べられるように準備しておいた。
お節だけだと飽きてしまうかもしれないと、ある程度の物も、揚げるだけ、焼くだけというように下ごしらえをして冷凍庫に保存しておく。

「これだけあれば、正月の三箇日は充分でしょ」

まるで自己満足のように腰に手を当て、ふうっと息を吐く。

「あ、でも。英嗣って、大阪に帰らないのかな?」

お正月といえば、実家で両親が待ってるのが普通だよね?
そしたら、この料理たちって、あたし一人で食べることになるのか……。

そう考えると、気合を入れて作りすぎたと少しの後悔をし、同時に一人のお正月を過す事になるかもしれない、と寂しさも覚えた。