凌におかゆを少し食べさせ、薬を飲ませた。
明け方になると熱も大分下がり、規則正しい寝息を立てている。
あたしはリビングのソファに座り、携帯を睨みつける。
英嗣の声を聞きたい。
けれど、かける事をどうしても躊躇ってしまう。
先にマンションに戻るとは言っていたけれど、やっぱり昨日買ったプレゼントが気になり仕方なかった。
「好きな人のところへ、行ってるよね……きっと」
いつになくしおらしい思考が、持っていた携帯をテーブルへと置かせる。
凌の様子をもう一度見に行こうと立ち上がると、丁度寝室のドアが開いた。
「おはよ……」
まだ気だるげだけれど、凌はしっかりとした足取りで空いているソファに腰を下ろした。
「起きてきて大丈夫なの?」
「うん。すっかり熱も下がったみたいだ。きっと、明が作ってくれたおかゆのおかげだな」
「なら、よかった」
それでも、ふうっと吐いた息がまだ少しだけ辛そうに見える。



