「ありがと。でも、いいの。凌がこれから一緒に借金を返していってくれるっていうだけで充分だよ」
あたしは、やっと冷め始めたカプチーノをもう一度口にした。
けれど、一度火傷してしまった口内はやっぱりヒリヒリとし、痛みをもたらす。
「俺はさ、後悔してるんだ。ずっと、後悔してきたんだ……」
「凌……?」
凌はテーブルの上で両手を組み、その手がなんだか少し震えている。
「あの時、どうして意地でも明を連れて出なかったのかって。あの日、親父に腹が立ちすぎて、我を失ってしまった。自分のことしか考えられなくなっていた」
凌が苦しそうに歯噛みする。
その姿がとても痛々しく感じるのは、あの日の光景があたしの脳裏に鮮明に焼きついているせいだろう。



