おかしな二人



「初めはさ、スカウトだったからそんなに固執してなかったんだ。まだ大学に行ってたし、小遣い稼ぎになればいいやくらいでね。けど、仕事を一つ一つこなして行くうちに、いつの間にか好きになっていて。気がつけば、今の位置にいた。きっと、こういう仕事が性に合っていたんだろうな」

そう言って、また他人事のような顔をする。

「良かったじゃない。そんな仕事に巡り合えて」
「ああ」

カップを見つめていた視線をあたしに移し、凌がやわらかく微笑む。

その笑顔は、モデルで培われたもののように感じた。
だって、本当に雑誌の中で笑っていそうな笑みだったから。

それはわざと作った笑い顔じゃなくて、それが凌には既に普通の事になっているようだった。