おかしな二人



「そっか。明は、家事とか得意だったもんな」

そりゃそうよ。
母さんと二人の時だって、小さい時からお米くらいは研いだりしていたし。
山崎の家に入ってから、母が亡くなって、家のことをまともにできるのはあたしだけだったんだから。
そんな状況じゃ、黙っていたって家事の腕は磨かれる。

「明が作ってくれていた食事が懐かしいよ。本当に美味しかったからな」

凌は、香草の効いた牛肉を美味しそうに頬張りながら言う。

「こんなすごい料理を目の前にして言われたって、真実味に欠けるんだけど」
「本当だよ。確かに外で食べる料理は、うまいかもしれない。それは、金を払っているんだから、当然のことだ。けど、家族が作る料理には、金じゃなく、愛がある」

もっともらしく真顔で言う凌に、背中の辺りがむず痒くなっていく。

「な、なんか。そういうのくすぐったい」

普段言われ慣れていない褒め言葉に、あたしは首を竦めた。

「そういうの、似合わないよ」

そして、照れ隠しにできるだけ素っ気無く返した。

「似合わないか」

凌は、少しだけ可笑しそうに笑みを漏らしたあと、んんっ。と少し喉を鳴らす。