チーズを一つ手に取り口にし、更にもう一度ワインを含むと、その美味しさが更に際立った。
そうやって、ワインの味を充分に堪能したところで凌を見る。
ところで――――。
「お金は?」
「はぁ……」
あたしが率直に訊ねると、凌はこの場に不釣合いな声を出し、俯き首を横に振り深い溜息をつく。
「せっかくのいい雰囲気が、台無しだよ」
困ったお嬢ちゃんだ、と嘆かわしい顔つきをしてみせる。
「しょうがないでしょ。もともとの用事は、そっちがメインなんだから」
「違うだろ。メインは、俺との食事だ」
何故だか、誇らしげに胸を張る。
めんどくさ……。



