なんとなく目頭が熱くなってから感じた。

ああ、あたしは、嬉しいんだ。
こんな風に自分の事を気にかけてくれる人がいて、心の底から嬉しいんだ。

毎日、毎日。
どうやって、一人で生きていくか。
どうやって、この当てもないほどの借金を返して行くか。

助けてくれる人なんて、誰もいなかったし。
愚痴を零す相手もいなかった。

ただひたすらに、働いて働いて。
忙しさ以外の感情を、持たないように生きてきた。

そうしないと、周り総てが羨ましくて、あたしはどうしようもなく孤独で寂しい毎日に押し潰されていただろうから。

けれど、借金の事ばかりが周りを埋め尽くしていた毎日が、水上さんのおかげで少しずつ変化し始めている。

コートも、フレンチも、たこ焼き味の海老満月も。
そして、このおかしなストラップも。

水上さんがあたしに与えてくれる影響が、少しずつ周囲を明るいものに変えてくれている。

嬉しくて、視界が歪んだ。
水上さんが、あたしという存在を認めてくれていることが、どうしようもなく嬉しくてしかたなかったんだ。