あたしがぼんやりとそんな事を思い出していると、水上さんの顔がぬぅっと目の前に現れ、はっとする。
「なに、ぼけっとしとるん」
「えっ!? あ、いえいえ。なんでもないです、じゃなくて、なんでもないよ。うん」
あたしは現実に引き戻され、敬語を訂正しながら応える。
「ほら」
そんなあたしの前に、紙袋が突き出された。
その袋には、大阪名物のたこ焼きやお好み焼きの絵が美味しそうに描かれている。
「土産だ」
「え? お土産? あたしに?」
予想もしていなかったお土産攻撃に、自分で自分に指をさして訊ねた。
「他に誰がおるん」
ですよねぇ。
それ、前も言われましたよねぇ。
あはは……。



