「これは、断るしかないかな。便利屋の社長に言って、他の人と交代してもらうか。それとも、凌に自分で解決するように言うしかない」

それだと報酬は無しになってしまうし、もしかしたら裏で握らされたお金を逆にあたしが支払う事になるかもしれない。

けれど、水上さんが留守じゃない以上、どうしようもない。

舞い込むはずだった、報酬額の数字を頭に描き、支払う事になるかもしれない数字に項垂れる。
四つはあったはずのゼロが、バラバラバラと音を立ててゼロどころかマイナスの数字をはじき出す。

「全く、いい加減なんだからっ」

目の前にいない相手に怒ってから、水上さんが帰ってくる時間を確認した。