物心もつき、小学校の高学年になった頃、母が病気で他界する頃家族総出で看病や家の事をし、クリスマスどころの騒ぎじゃなかった。
そして、その頃からだろうか、凌のいじめが酷くなり始めたのは。
小学校の三年生辺りから、その傾向は少しずつ現れ始めていた。
最初は、些細なこと。
悪戯と言われれば、それで済んでしまう程度の事ばかり。
けれど、年を追うごとに、それはエスカレートし、どう考えてもいじめとしか思えない状態になっていた。
母も亡くなり、父親は酒と博打に溺れ、そんな中あたしは凌に苛められ続けていた。
何が彼をそうさせたのか、真実は謎のまま。
どうしてあんな厭な思いをし続けなくちゃいけなかったのか、それを考えるたびにお腹の辺りが熱くなりムカッと来る。
けれど、久しぶりに逢った凌は、昔と変わらない自己中さはあるものの、ちょっとは大人になっていた。
元々いい顔つきはしていたけれど、モデルの仕事をしているせいかやけに垢抜けていたし。
なんか、あたしとは生活も何もかも雲泥の差のよう。
まぁ、血の繋がりがないんだから、容姿的な事は問題にしても仕方ないんだけど。



