冬を前にした空は、窓越しに眺めても寒々としていた。 熱々だったコーヒーも、湯気は頼りなくなっている。 店内が寒すぎる、と言う事はない。 実際、ついているエアコンでカフェ内は適温に保たれていた。 けれど、寒い。 とにかく、寒いのだ。 それは、悪寒というものだろう。 一旦脱いだコートをもう一度着て、願わくは脱兎の如くこの場から去りたいところだ。 けれど、あたしはただその寒さに耐えるしかない。 相手は、一応お客。 そう、客なのだ。 くそっ! 知らず、心の内で汚い言葉が顔を出す。