『悪いけど、依頼内容は電話じゃなくて、直接会って話したいから今から来られるかな』 ほほぉ、電話じゃ話しにくいなんて、どんだけ世間様に顔向けできないような事をしたのか。 あたしは、心で思った皮肉を表に出さないよう、嫌味にならない程度の明るい声で返事をする。 「はい。もちろんです」 『じゃあ、十四時に恵比寿の○○カフェに来てよ』 「はい、かしこまりました。うかがわせて頂きます」 プチッと音を立てて電話を切り、壁の時計を見る。 十四時か、もう出ないと間に合わないな。