「水上さん、もう直ぐ着きますよ」 信号待ちで止まったところで、後部座席に声を掛けた。 「おう……」 閉じていた目を開け、ゴシゴシと擦ると、朝と同じように、ふあぁぁあ、と大きな欠伸をしている。 あたしは、ロータリーを回って車を止めた。 「ほんなら、行って来るわ」 「あ、お弁当、持ちました?」 「おう」 水上さんは、ちゃんと持ってるとばかりに、ホットサンドが入った袋を掲げて見せる。 よしよし。