花火大会の日、浴衣を着て家で待っていると、連が迎えに来た。
「よっ!行こう!」
「うん」
行きの電車の中で、いつになく、
連はそわそわしていた。
「なにソワソワしてるの?」
「いや…浴衣、可愛いなぁと思って…」
「気持ち悪い。連がそんなこと
言うなんて、気持ち悪すぎる!
大雨がふるよ」
「そんなに言わなくてもいいだろ。
本当に可愛いって思ったんだからさ」
「ふぅ~ん。連さ、そんなことばっか
言ってないで、いい加減彼女でも
作って、花火大会くらい、彼女と
行けるようにしたら?」
「余計な…お世話だよ」
目的地についた。もうすでに人が
いっぱいで、見渡す限りカップル
だらけだった。
なおくんとこれる日がいつか
訪れますように…
ほんの小さな願い事をしていた
あの夏の日……
