黒髪の少年

アレンも立ち上がると、
シルビアの方を向いた。
「シルビア、まだ時間あるかい？」
シルビアはアレンに背を向けたまま
答えを返した。
「ええ、まだあるわよ。
他の所に行くの」
「もう決まってるのかい？」
「まだだけど」
アレンは微笑んだ。
「僕の王宮に来ないか？」
シルビアは僅かに肩を動かした。
「早く君を王宮に招待したいんだ。
今時間があるなら、今日にでも」
シルビアはようやく、
顔をアレンに向けた。
「なんで今日行かなきゃいけないの？
会ってすぐ自分の王宮に
女を連れて行くなんて
バカじゃないの？」
アレンは悲しそうな顔をした。
「済まない。君は他の女性とは
違う気がしたから....」
「行くわよ。行けばいいんでしょ」
アレンは少し驚いた顔をした。
「いいのかい？」
シルビアは僅かに赤い顔を下に振った。
アレンはそんなシルビアを見て、
嬉しそうな笑みを浮かべた。
じゃあ行こう！といって
シルビアを自分の王宮へと誘った。