黒髪の少年

今日はアレン王子が街へ出掛ける日。
街中の女性が外に出て、
アレン王子を一目見ようと目を凝らす。
いや、本当は 心を奪いたいがため
といった方が正しいかもしれない。

「あっ、アレン王子が来たわ!」
一人の女性が声を上げる。
それとほぼ同時に街中の女性が
悲鳴のような歓声をあげた。
隣を歩く父上と母上は、
あまりの煩さに耳を塞いでいた。
アレン王子は爽やかな笑顔で、
「やぁ、女性の皆さん。
お元気ですか?」
「「「はい、勿論元気です!」」」
全員、目がハートになっている。

アレン王子が通り過ぎた後。
「あぁ、今日も
アレン王子に会えて幸せ〜。
結婚出来たらいいのになぁ」
「まず友達になる事さえ、
難しいもんねぇ〜」
ドンっ。



鈍い音がした。