暑い季節になった。
街では人々が汗だくになって
歩いている。
アレンはというと、
父の仕事の手伝いをしていた。
約一ヶ月くらい、手伝っていた。
王の座を受け継ぐためにも、
今のうちから王の仕事に
慣れておくのだ。
シルビアには伝えておいたから、
多分大丈夫だとは思うけれど、
自分が大丈夫ではなくなってきている。
そんな時だった。
「アレン、今度の祭りの日は
休んでもいいぞ。それで、
例の女性に会えるなら
会ってくるといい」
父は優しそうな表情でアレンに告げた。
「はい」
その言葉を聞いたアレンは、
後もう少しだと思って、頑張った。

祭りの日。アレンは起きてすぐ
海へ足を運んだ。
この日にシルビアが来ているかは
分からない。けれどアレンは、
この日の間はずっと其処で、
シルビアを待つ事にした。
いつも座っている砂浜で、
海を見つめて。

しかし結局、その日
シルビアがくる事はなかった。