黒髪の少年

シルビアは
何でもない様な振る舞いをしながら、
心の中では心底幸せな気持ちだった。
アレンの王宮で色々知って、
心がなんだか明るくなったような
気がした。
「シルビア、嬉しそうな顔してるね」
隣を歩くアレンが言った。
それを聞いたシルビアは、
急いでアレンから顔を逸らした。
「そんな事ないわ」
アレンに顔を見せないまま、
シルビアは空を見上げた。
其処には現実の世界とは
思えない程青くて、
雲一つない美しい空だった。
そんなシルビアを見たのか、
アレンは声をあげた。
「空...とても綺麗だね」
「そうね」


やがてシルビアの王宮につく。
「今日は楽しかったよ。
また、いつでも遊びにおいで」
アレンは優しく微笑んだ。
「...あなたもね」
シルビアは照れ臭そうな顔をした。
アレンはそんなシルビアを見て、
嬉しそうに微笑んだ。
「うん！それじゃあ、また」
シルビアは、踵を返したアレンの背中を
見えなくなるまで見つめていた。