黒髪の少年

長い間いてくれるデビーが、
まさかそんな事を思いながら
此処で働いていてくれていたとは。
デビーは僕が幼い頃からいる。
デビーの他にも沢山そう言う人はいる。
もしかしたら長い間
いてくれる人たちは皆、
同じ事を思っているのかもしれない。
ふと疑問を感じたアレンは、
シルビアの顔を見つめた。
「シルビアの王宮はどうなの?」
シルビアはアレンの顔を見つめて
瞬きをした。
「あたしの王宮は...
引きつった笑顔を浮かべたり、
怯えた様な仕草をする使用人が多いわ。
規制とかは親が決めてるんだろうけど、
あたしはそんな使用人たちを見て、
最初は窮屈さを感じてたわ。
それが当たり前なんだって思ってた。
でも此処に来て...なんだか、
羨ましくなってしまった」
アレンはその言葉を聞いて、
笑みを浮かべた。
「じゃあまた来てくれるかい?」
「まぁ、どうしてもっていうなら」
アレンは嬉しそうに微笑んだ。