黒髪の少年

One

彼はとある国の王家に生まれた。
才能溢れる天才児で 誰からも
慕われるような少年だった。
性格も明るく、誰にでも優しい彼は
いつしか多くの求婚を
受けるようになっていた。

「アレンは本当に人気者だな」
父は言った。
「アレン、お前の好きな人を
選ぶといい」
アレンは困った顔をした。
「父上。
僕は顔で選びたくありません」
「ですがアレン、見た目も中身も
綺麗な女性の方がいいですわよ？」
母は微笑みながらそう言った。
「しかし僕は自然と出会った
女性の中から選びたいのです」
「まぁ良いよ。愛しい息子の人生だ。
私達が口出しして良い事でも
無かろうよ」
父上はひげを撫でながら言った。
「そうですね。私も
アレンの幸せを望んでいます」
母上もそう言った。
アレンは嬉しそうな顔をした。

「ありがとう」

しかしこの会話が、
後に事件を起こすとは
誰も想像していなかった。