涙のあかし


「好きじゃありませんよ、はいはい」


まじか。正直、心の中では喜んでいる

自分がいた。

『好き』なんかじゃないのに。
『嫌い』でもなくて。

さっき夏生にもらった
おまんじゅうを紙袋の中からとりだし、
ラッピングをとっていった。

ぱくっ―――――


うめぇ。


こうやって、いっつも、
卒業祝いだとかでまんじゅうもらってたっけな。


「なぁ、俺どっちなんだろ」



「どっちって…?」

「わかんねぇんだよ。
俺、夏生のこと好きなのかも。
でもなんか違うんだ。くっそっ」


「やっぱりかぁ。
さすが我のいとこ。もてるな。」


夏生が…もてる?