図書館の眠り王子

走り去っていく女の子が泣きそうになってるのが分かったから、小山くんが振ったんだろう。


小山くん、あんな顔するんだ…。



初めて見た、あんな顔。
しばらく、その場でボーッとしてしまった。



「!!」


小山くんと視線がぶつかった。



(手、降るべき?…いやいや、告白現場見といて手振るとかどうなの!?)



絡まった視線を解くことはできず、動くことも出来なくて。

ただ、ずっとその場にいた。