図書館の眠り王子

「わ…!ど、どーして…」

「…怖いんだろ」

「い、いいんですか?」



あいつの言葉に返事する代わりに歩き出した。
ちょっとだけ見えた、顔を赤くして、涙を浮かべた表情。




なぜだか緊張した。
こんなに職員室って遠かったっけ、とも思った。


もうここでオレの役目は終わったはずだけど、なんとなく離れがたかった。


だから校門まで一緒に行って、そこであいつはオレと逆方向の道のりを歩いていった。
別れ際、柔らかい笑顔を残して。