「えーっと、あたし…」



言いながら、彼に近づく。


じーっとあたしを見ていた彼は、何か思い浮かんだように、あ、と小さな声を上げた。



あたしのことを、思い出してくれたんだろうか。




「覚え、てますか?えっと、先週の水曜の放課後、ここにいた図書委員なんですけど…」

「……」


不思議そうにあたしを見ながら、ああ、と彼は頷いた。