「よし!文化祭の準備はこれで完了でしょ!」




私は、ペンキ塗【まみ】れの顔で汗をかいた額【ひたい】を拭いながら、その出来栄えに満足していた。

所謂【いわゆる】、自己満足。




「さすが、奈留【なる】だよね」

「めっちゃ綺麗!」

「へへっ。もっと褒めてー!」

「もう!調子乗り過ぎ!」




各学年クラスで決まったデザイン画を生徒会に提出し、選ばれた1クラスが文化祭の看板を制作するという、我が校の伝統的なイベントがあり、毎年すごい盛り上がるのだが。

なんと、今年は私のクラスが見事当選して、こうして作成している。

看板の板作りは男子がしてくれて、あとは下書きを女子でして、大きな部分も女子が、そして細かなペンキでの色塗りは私がした。


重大な責任のあるこの色塗り。

本当に手先がぷるぷると震えていて、正直心配だったけれど。


――――ギリギリ間に合った。

だって、文化祭は今日。
あと2時間後には始まるのだから。