ぼんやりとした頭のまま、朝早くに連れてこられた山のふもと。



 担任が首にタオルをまいて、皆に注意事項を説明しているのをぼーっとしながら聞いていた。



「林檎、大丈夫? 調子悪いの?」



 真希が心配そうに顔をのぞき込んでくる。



「ううん、大丈夫。ちょっと、昨日寝付けなくて……」



「そっか。じゃあ辛くなったらすぐ言ってね! 私が林檎をおんぶしてあげる」



「ははっ! ありがとう。頼むね」



 真希の細い骨を折らないように、何とか無事に下山出来ますように。



 __担任の説明も終わった頃。
 竜ちゃんが1人で、私達のところへやってきた。



「ねえ林檎ちゃん、七瀬さん。浩がさ、担任に頼まれてクラスの最後尾にいるんだ。でね、浩に2人を頼まれたから、一緒に行ってもいい……?」