「え、木島ってなかなか料理出来るんじゃん! なんかがっかり……」



 浩が鍋にカレー粉を入れている時に、食器洗い係の真希が言った。



「当たり前だろーが。つーか、がっかりってなんだよ」



「浩、林檎ちゃんに習ったんでしょ」



「何だ、林檎のおかげか!」



 ……あ、まずい。浩が拗ねる。
 顔が強張ってきている。



「浩は、頑張ったよね。さっきだって猫の手だったもん。ちゃんと知ってるよ、浩」



 そう言うと浩は少し笑って、2人に見えないように「ありがと」と口パクで伝えてきた。



 私もそれに答えて「がんばれ」と言った。